one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜


「綺麗だねぇ……?」


一緒にでも見るように、ぬいぐるみに話しかける桃香。

その姿を目に、背後から静かに近付く。

気配に気付いて振り返ったところを、背後からギュッと抱き締めた。


「っ……?」


いつになっても、ピクッと新鮮な反応を見せる。

腕の中にあるその存在に、生まれて初めて愛しいという気持ちにさせられていた。


もし……追い掛けなかったら……。


きっといつまでも、靄がかかったように気分が晴れなかった気がする。

それに気付いたのは、最後はやっぱり自分自身だったけど、純太やこころや母親、周りの人間のおかげだと思う。


大切なことを気付かせてくれた、

大切な存在のおかげ……。


「理玖、くん……?」

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