one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
プリントに目を落としながら、聞こえてきた親父の声に耳が反応。
名前を口にされ、つい顔を向けていた。
ってか……
さっきから何の話してんだ?
「寮はいっぱいらしくて、でも編入の手続きは手違いでされてたらしい……」
「そう……それじゃあ気の毒よね……」
……寮?……編入?
「女の子じゃ、こっちで一人暮らしっていうのも加山くんも心配だろうしね?」
「高校生で一人暮らしは無理だろ?」
……女の子? 高校生?
……は? 何だそれ……。
「なになに⁈ お父さんたち何の話してるの?」
二人の話を聞き、瑠衣が横から口を挟んだ。
ソファからぴょんと飛び降り、話し込む二人の元へと駆けていく。
近付いてきた瑠衣、黙ったまま視線を送る俺を見て、二人は無言で顔を見合わせた。
「二人にも話しとかないとな……」
親父はそう言って、母親と瑠衣を俺の座るソファへと促した。