one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
一昨日の記憶にそんな不安を抱いた時、掴まれていた三つ編みが理玖くんの手から解放された。
否定するように私の肩の向こうへと三つ編みを投げる理玖くん。
恐る恐る顔を見上げると、理玖くんの切れ長の目がバッチリ私を捕らえていた。
「まっ……コレはコレで、面白いんじゃん?」
お……面白い?
「俺は別にいいと思うけどな?……天然記念物っぽくて」
え……て、天然記念物⁈
理玖くんはそう言ってフッと笑うと、「行くぞ?」と前を歩いていく。
これは……誉められているの?
いや……ニュアンス的にはけなされてるような……。
「あっ、待ってください!」
どんどん離れていく理玖くんを追って、私は焦ってその場を駆けだした。
家を出て数十分。
歩く道には同じ制服の学生が増えていく。
「もしかして、あれ……」
生徒たちを吸い込んでいく立派な校門を目に、思わず立ち止まりそうになった。