one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜
……ん⁈
校舎に向かって歩く、そんな時だった。
キンと響く高い声が背後から耳を突き抜けた。
えっ?
と思って、反射的に振り返る。
その時、くるんと茶色い髪の毛が目の前横切った。
「わっ!」
驚いたのもつかの間、次の瞬間に目に飛び込んできたのは、女の子の後ろ姿。
すぐ前を歩いていた理玖くんの腕に絡まる、女の子の姿だった。
「りぃーくぅー、おはよ! 久しぶりぃ!」
栗色でロングで、漫画に出てきそうな感じのゆるふわのカール。
理玖くんを見上げる横顔はキラキラしていて、長いまつげはまさにお姫様。
くりっと上向きで、ばっさばさとしている。
空気さえも入る隙間がないってほどの密着を披露され、私はおどおどとその場に立ち尽くす。
ど、どうしよ……。
この子……もしかして理玖くんの?