one Love 〜知らなかった恋する気持ち〜


「ほらほら、席着け!」


教室の前の扉から担任が姿を現した。


「ほらほら、席着け」


担任と同じセリフで純太を追い払う。

すると、こころが「ねぇ、あれ!」と純太の腕を小突いた。

クラスがざわめく。


……?

うわ、出た……おさげ。


こころの視線を追って前に目を向けると、そこには扉の前で不安そうな顔をして佇むおさげ頭。


「ねぇ、理玖! あの子⁈」

「うっわ……超清純系……」


……うるさい。

とっとと席つけ。


「ほら、静かにしろ! 席につきなさい!」


黒板前に立った担任が再び怒鳴り、純太とこころも自分の席へと戻っていく。

おどおどとクラス内に目を向ける桃香と、ふいに視線が重なった。

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