大江戸シンデレラ

お参りを終えた舞ひつるが、小堂を出て久喜萬字屋へと戻る道に足を向けた、そのときだった。

「……えれぇ別嬪(べっぴん)女子(おなご)がいるな」

目の前に、ばらばらっと五人の(おのこ)たちが現れた。

歳の頃二十歳(はたち)くらいの彼らは、剣術(やっとう)の稽古に通うような着流しに袴姿の出立(いでた)ちであった。

お武家の子弟たちだ。

——厄介な者たちに御目通りしなんし……

舞ひつるの(ろう)たげな(かんばせ)が、すーっと曇る。

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