大江戸シンデレラ

「……そなたはこの期に及んでも、『申し訳ありませぬ』の一つも云えぬのか」

これ以上、目の前の女を怒らせるわけにはいかない。舞ひつるはあわてて、

「申し訳ありませぬ」

三つ指をついて頭を下げた。

謝る文言(もんごん)一つとっても、武家と町家そして(くるわ)とでは物云いが異なる。

この女の(げん)から、一つ一つ覚えていくしかない。

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