大江戸シンデレラ

進退極まってどうにも仕方なく、とうとう舞ひつるは巾着を女に向けてすーっと差し出した。

女が巾着を手に取り、紐を解いて中を(あらた)める。

さらに、中にある三つの袋も覗いたのであろう。
女の糸のごとき細い目が見開いた。

相当な金子(きんす)其処(そこ)には入っている。


「こちらも……当方で預かりまするゆえ」

< 142 / 460 >

この作品をシェア

pagetop