大江戸シンデレラ
その後、何度やり直しても、美鶴の縫い目は蛇がのたくったままであった。
——もしかして……布が無地であるのが、良くないのかもしれぬなんし。
縫い物の心得のない者が、何の道標もない処に刺したとて、うまくいかぬのは至極当然のことに思われた。
無地の布を置いた美鶴は立ち上がり、箪笥に向かってその抽斗を開けた。
今度は柄の入った布地を探すためだ。
できれば、真っ直ぐに線の走ったものが良い。
そして、一枚の布を見つけた。
その布地は、縦横に真っ直ぐ走った格子柄であった。