大江戸シンデレラ

「御新造さんが、これで雑巾を縫うように()ってなさるんで」

おさとが綿布をどさり、と置いた。

一枚一枚が薄い生地のため、(かさ)はさほどでもないが、枚数は相当あるように思えた。

「この組屋敷の界隈から集めた布だそうで、雑巾にして縫い終えたら返すというこってす」


——その「雑巾」をわっちが一人で縫う、ってことなんしかえ。

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