大江戸シンデレラ

美鶴は目を開けて広次郎を見上げた。

兵馬と同じくらいの上背(うわぜい)のように思われる。

切れ長の目に、スッと鼻筋が通っていて、ちょっと薄めの唇は……叔父である島村 勘解由によく似ていた。

その切れ長の目が降りてきて、美鶴の(なつめ)のごとき大きな瞳と出合う。

澄み切った切れ長の目が、美鶴を真っ直ぐに射抜く。

「何でも……ありませぬ」

美鶴は震えそうになる声で、なんとか答えた。


その刹那——広次郎が微笑んだ。


それは、とてもやさしげな笑みであった。

されども、その笑みは、なぜか……

とても……哀しげでもあった。

そして、とても——せつなげでもあった。

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