大江戸シンデレラ

駕籠に揺られて着いた先は、これまた裏口ではあったが、かなりの立派な門構えに見えた。

美鶴は駕籠から降りると、辺りを見渡して供についているはずのおさと(・・・)を探した。

されども、何処(どこ)にもいない。

——てっきり、後からついてきてくれているものと、思っていなんしたのに……

なんだか心細く思っていると、裏門が開いて女中らしきおなご(・・・)が出てきた。

「どうぞ、こちらへ……」

中へ入るよう促されて、美鶴は後ろ髪を引かれる思いで後ろを振り返りながら、門の内へと入って行った。

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