大江戸シンデレラ
勘解由はもう一度、上座の二人に目を向けた。
最後の締めに、花婿が平伏するところであった。
さすが父子である。
目の前に座る壮年の武士の若い頃に、瓜二つであった。
少し遅れて、美鶴が嫋やかに頭を下げる。
その姿こそ……まさに「生き写し」と云ってよかった。
勘解由の口元が、目に見えるか見えないかのところで、ほんの僅か動いた。
そしてこの刹那……
我が身がまだ「島村 尚之介」と名乗っていた頃のことが、脳裏に甦ってきた。