大江戸シンデレラ
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ちょうど、尚之介が江戸町二丁目の筋から大門側に一本入った伏見町の角っこに祀られた明石稲荷の御堂にさしかかったときであった。
樹木に目隠しされたその小堂の周囲は、路地裏どころか人気のほとんどない、吉原の端の端である。
不意に、中から鈴のようなか細い声が聞こえてきた。
「……お武家さま。お頼申しなんし。
どうか、わっちにこの道を通しておくんなんし」
ちょうど、尚之介が江戸町二丁目の筋から大門側に一本入った伏見町の角っこに祀られた明石稲荷の御堂にさしかかったときであった。
樹木に目隠しされたその小堂の周囲は、路地裏どころか人気のほとんどない、吉原の端の端である。
不意に、中から鈴のようなか細い声が聞こえてきた。
「……お武家さま。お頼申しなんし。
どうか、わっちにこの道を通しておくんなんし」