大江戸シンデレラ

「し、島村様……め、面目(めんぼく)のうごさる」

「吉原に配されて浮き足立ち、つい羽目を外してしまったがゆえのことで……」

「我ら、悪気があってではこざらんゆえ……」

此度(こたび)においては何卒(なにとぞ)……御内密に……」

「もし、表沙汰にならば『御家(おいえ)』の一大事になるゆえ……」

尚之介が放つ厳しい眼差しに、たちまちのうちに震え上がった見習い同心たちは、口々に云い訳を始める。


「……(うぬ)ら、この期に及んで、まだ云い訳する気か」

情け容赦のない冷たい声で、尚之介が云い放つ。

「それでも御公儀から御役目を賜り、(ろく)をいただく身か。恥を知れ」

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