大江戸シンデレラ
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さようにして出逢った北町奉行所の隠密同心・島村 尚之介と、吉原の 大籬(おおまがき)である久喜萬字屋の呼出(よびだし)・胡蝶が「(わり)ない仲」になるのには、さほど(とき)はかからなかった。

尚之介はすでに妻帯の身であるし、御役目とあらば好きでもない女を抱くことなど何とも思わぬ。

一方、見世(みせ)で一番の売れっ()・胡蝶には、すでに錚々たる御大尽が客としてついていた。

つまり、未だ筆下ろしもしておらぬ初心(うぶ)な少年でもなく、嫁ぐまではその身を開かぬという真っ(さら)な生娘でもないということだ。


されども……

武家の男と吉原の遊女の身分違いの(こい)は、御公儀(おかみ)の定めに背く……

——まさに「不義」である。

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