大江戸シンデレラ
「そ、そちは……もしや……」
兵馬もまた、美鶴と同じように目を見開いていた。
「いや、まさか……さようなことはあるまい」
大きく頭を振って、呻くようにつぶやいた。
美鶴は、行燈の灯りに我が身が煌々と照らされているのに気づいた。
しかも、剥ぎ取られるかのごとく脱がされた羽二重の寝間着もその下の襦袢も、夜着の外に打ち捨てられていた。
つまり、美鶴は一糸纏わぬあられもなき姿であった。
さらに、脚の間からは真っ赤な血が、内腿に向かってつーっと伝っていた。
つい先ほど、兵馬によって散らされた……
——「初花」の証だった。
かーっと美鶴の身体じゅうが火照り、俄かに赤く染まったような心持ちがした。
あわてて襦袢を引っ掴んで引き寄せ、袖を通す。
半ば力ずくで暴かれたゆえ、終わったあとも胎内だけはじくじくとした痛みが続いていたのだが、恥ずかしさのあまり見事に吹っ飛んでいた。