大江戸シンデレラ
そして、ふと思い出した。
美鶴は、島村 勘解由にも、浴衣を縫うて渡していた。
されども、それはすぐに控えていた中間の手に渡り、何処へかと持ち去られた。
とりあえず仕立てた浴衣は、今縫っているものよりも、ずっと拙い縫い目であったであろう。
次は、単衣の着物でも、と思うていた矢先に此度のことと相成った。
——島村さま……
あのお方に、あの浴衣の袖を通してもらえておるであろうか……
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