大江戸シンデレラ

舞ひつるは、朝餉(あさげ)として見世から出された白飯とおみおつけ(・・・・・)の残りをなるべく早く食しながら、心に誓った。

——若さまは、思いのほか、人の目につくお方なんし。「お供」の折には、じゅうぶん用心せねばならぬなんし。

(くるわ)の連中の口に上ることがあらば、兵馬の御役目にも御家(おいえ)にも、大きな(さわ)りが出るやもしれぬ。

さようなことになるのだけは、避けたかった。

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