大江戸シンデレラ

「お、奥方様っ、なんと云うことをっ」

慌てふためいた広次郎は、思わず(おもて)を上げて叫んだ。


されども、美鶴は一向に臆することなくなおも続ける。

「どうかわたくしの命でもって、島村の御家(おいえ)には御咎めのなきよう、伏してお願い申し上げまする」

そして兵馬の方へ、ずい、と膝を進める。


「旦那さま、どうぞ……わたくしめの()の首を召しませ」

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