大江戸シンデレラ
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その日の前日、舞ひつるは兵馬(ひょうま)から、

()りぃ、ちょいと野暮用ができて明日はおめえさんの「供」ができねえ』

と、云われた。

御役目のある兵馬を()がことで毎朝駆り出させているのに、日々後ろめたき心持ちをしていた舞ひつるは、あっさりと受け入れた。

そして、翌日のお参りはせぬ、と兵馬に約束した。

だが、しかし——見世に帰ってから、舞ひつるははたと気づいた。

間の悪いことに、翌日は亡くなった母親の月命日であった。

行かぬのは流石(さすが)に気が咎められた。

翌朝、仕方なく舞ひつるは一人で明石稲荷へと向かった。


——なに、いつものように、ちょいとお参りしてすぐに帰ってきなんし。

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