停留所で一休み
「私、お父さんの所に行くから。」

「じゃあ、送って行くよ。」

弥生は車を停めた。

「いい。自分一人で行けるから。」

私は反対側の車線に走って行くと、丁度やってきたタクシーを捕まえて中に乗り込んだ。


数分後。

私は港に着き、周りをキョロキョロ見回してみた。

埠頭を見ると、見たような背中の人。

私は真っ直ぐ、そこへと向かった。

「お父さん。」

振り向いた父は、私を見ると軽く微笑んでくれた。

「何だ。来たのか。」

「うん。」

私は父の隣に、腰を降ろした。

見ると父は、やけにおしゃれなチェックのマフラーに、ナイキの黒い帽子を被っている。

「お父さん。そのマフラーと帽子、どうしたの?」
< 102 / 224 >

この作品をシェア

pagetop