停留所で一休み
「これか?」

父は自慢げに、タバコの煙を吐いた。

「一香と克己に貰ったんだ。」

「あの二人に?」

私はマフラーの端を見て、目を丸くした。

「有名なとこのマフラーなんだってな。ばーばりーって言うんだろ?」

私は気が遠くなりそうだった。


Burberryのマフラーを、Nikeのキャップを、こんな田舎の釣りにしてくるなんて!


「そんな物、どうして二人が!!」

「定年退職の祝いに貰ったんだ。」


て、定年退職の…お祝い?

何もそんなに奮発しなくても……

しかもそんな二人に比べて、確か私が送った定年退職のお祝いは……

「出海は、揃いの湯呑みだったな。」
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