停留所で一休み
お母さんや真恵叔母さん。

一香や克己。

本村君や弥生だって、何かしら言ってくるのに。


「聞いてほしいことでもあるのか?」

父はそう一言。

「ない。」

私も一言で返した。

「ならいいじゃないか。たまには黙って、こうしているのも。」


普段、口数の少ない父。

そんな父でも、黙って帰って来た娘に、本当は言いたい事は山ほどあるだろうに。

でも今は、そんな父に救われているような気分だった。
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