停留所で一休み
「ウソ…」

「ウソじゃない。そんなに慌ててどこへ行く?日本人よ。」

いや、お父さんも日本人だよ。

心の中で突っ込みを入れると、父はそんな事もお構いなしに、空を見上げた。


「出海、今日は空が一段ときれいだなあ。」

本当に呑気。

私は小さくため息をつくと、ドサッと父の隣に座った。

だって、そうするしかない。

のんびりと空を眺めている父をこのまま一人置いて、帰るわけにはいかないのだから。


バスを待って20分。

父の隣で、私の携帯がピコピコ言っている。

「何やってるんだ?出海。」

「ゲーム。」

「ゲーム?そんな小さい電話の中でか?」

「お父さん、時代に乗り遅れているよ。」
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