停留所で一休み
「行くぞ、出海。」

「う、うん…」

私は慌てて立ち上がったせいか、足元がふらついた。


「大丈夫か?」

そんな私を、支えてくれたのは父だった。

「うん、平気。」

そして私の前で、やってきたバスの、ドアが開く。

「今度は、乗り遅れるなよ。」

父がそっと、私の背中を押してくれた。

そして、私はバスの中に乗り込む。


いつも見慣れてているバスの中なのに、その時だけは、新しい世界に連れて行ってくれるような、異世界への扉に通じるような、そんな感覚がした。
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