停留所で一休み
「いいな。優しくされて。」

ふと弥生が、寂しそうに言った。

「弥生は、誰か迎えに来てくれるの?」

弥生は首を横に振った。

「迎えに来てくれる人なんて、いないよ……」

そう言って弥生は、寂しそうに笑った。

「……旦那さん、迎えに来てくれないの?」

弥生は静かに微笑むと、ゆっくりと話し始めた。


「出海……私ね、離婚するんだ。」

「はっ?離婚?」

突然の話に、声が裏返る。

「どうして?」

「…浮気してるの、ばれちゃった。」

「浮気?弥生が?何で?優しそうな旦那さんだったじゃん!」

弥生は見た目は派手そうでも、中身は一途だったのに。

「ウソだよね。弥生の浮気で離婚するだなんて……」
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