停留所で一休み
私が弥生に近づこうとした瞬間、大和君が弥生を抱き寄せた。

「ごめん、出海ちゃん。弥生の相手、実は俺なんだ。」

私は弥生に近づいた分だけ、二人から遠ざかった。


「突然の話で驚いたと思うけど、弥生の事、本気で愛しているんだ。」

愛してる?

人の奥さんなのに?

私は、その言葉が信じられなかった。


「弥生が離婚して半年経ったら……俺達、結婚しようって約束もしている。」

二人の表情を見て ウソはついてないと思う。

「じゃあ、弥生の今の結婚は何だったの?」

「出海……」

「間違いだったって言うの?」

うつむく私に、弥生は優しくこう言った。

「出海、結婚ってね。そんなに難しいものじゃないと思うよ。」
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