停留所で一休み
おじさん達やおばさん達、そして一香達夫婦まで、まるで有名人が現れたように歓声を上げた。


「おめでとう!!」

「克己もこれで一人前だな。」

そんな声が飛び交う。


克己はその声に応えるかのように、膝をついて、親戚に頭を下げている。

和希ちゃんも恥ずかしそうに緊張しながら、克己の側で頭を下げている。


「奥さんはなんて名前なの?」

軽く酔っ払ったおじさんが聞く。

「和希です。よろしくお願いします。」

和希ちゃんは初めて見る親戚に、かなり人見知りしている。

「おじさん、まだ奥さんじゃないって。」


そんな和希ちゃんを守るかのように、克己は彼女をフォローしている。

その場面を見た時、急に周りの声が、私には小さく聞こえた。
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