停留所で一休み
その時の克己は兄弟の末っ子で、いつも鼻水を垂らしていたやんちゃ坊主とは違っていた。

「今回は結婚する前に、新しい命を授かったという事で、和希をよろしく頼みます。」

小形家の長男として、新しい一家の主として、貫禄は十分にあった。

だが私の口からは、とんでもない言葉が出た。


「授かったっていうけど、できちゃったことには変わりないじゃない。」

それまで騒がしかった雰囲気が、急にシーンとなる。

「ぶっちゃけ、そうなんだけどね。」

克己の言葉に、みんなもとりあえず笑う。

「大体、結婚する前に子供を作るなんて、あんたがだらしないからこうなるのよ。」

「お姉ちゃん!」

一香が止めるけれど、私は止められなかった。
< 156 / 224 >

この作品をシェア

pagetop