停留所で一休み
私は、結婚する前に子供は作りたくなかった。

子供を理由に、結婚してほしくない。

自分自身を選んでもらいたかったから、だから二人で、一緒に夜を過ごす時は気を使った。


だけど一方では考えてしまう。

子供でも作っていれば、今頃結婚していたのかな。

それぐらいの決定打がないと、男の人は結婚してくれないのかなって。


「まっ。一人だけの問題じゃないか。」

私の言葉に、克己が大きな音を立てて、コップを置いた。

「どういう意味だよ、姉ちゃん。」

「克己だけ作ろうと思っても、相手がそう思わなければできないでしょって意味!」

私は、目の前にあったビールを、一気に飲み干した。

「案外、和希ちゃんも計画的だったんじゃないの?」
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