停留所で一休み
克己は手でテーブルを叩くと、私の前に立った。

「何だよ、それ黙って聞いてれば!」

私も立ち上がった。

「反論でもあるわけ?」

「俺は何を言われても仕方ないけど、和希を悪く言うのはやめろよ!」

その眼は、真帆ちゃんをそっと抱き寄せる、佳樹の眼に似ていた。


今まで積み上げてきた信頼など関係ない。

所詮はこれから、自分を支えてくれる人を、人間はかばっていくんだ。

「どうしたんだよ、姉ちゃん。和希のこと、気に入ってくれたんじゃないのか。」

それでも克己はまだ、姉の私を信じようとしてくれている。


「そうだよ。」

「じゃあ、何でそんなこと言うんだよ。」

「それとこれとは別でしょう?」

言い切る私に、克己はイラッとする。
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