停留所で一休み
「小形……」

「お願いです。今度こそ、今度こそ。期待に応えてみせます。」

だけど部長は、首を縦に振らなかった。


「小形、君は疲れてるんだよ。」

「いえ、疲れてなんていません!」

「プロジェクトは他のヤツに任せるから、気にしないで休養に行っておいで。」


その時の私には、他の人に任せるからと言う言葉が、もうお前じゃあてにならないって、言われているように聞こえて。

このままじゃあ、私は潰れてしまうと、気を使ってくれた高田部長の優しさに、全く気付かなかった。


とりあえず、はいっと言って返事をしたまま、自分の席に戻って、会社にいる手前、泣く事もできず。

その日はずっと、心ここにあらずで、一日を過ごした。
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