停留所で一休み
第3話 みじめな気持ち
その日の夜。

私は、お風呂に浸かりながら、今までの人生を振り返ってみた。


大して努力もしないで、そこそこテストでいい点を取っていた学生時代。

妹や弟にも、尊敬されていい気になっていた。

高校も県の進学校に運良く合格して、大学も東京の、そこそこ有名なところへ、行かせてもらえた。


そして就職氷河期の最中に、今の会社へ社員で就職でいて、たまたま自分の好きな分野の部署に回されて、そこにいた高田部長に可愛がられて、思えば、私の人生は運が良かっただけ。

自分で汗水垂らして、手に入れたものなどあっただろうか。



別れた佳樹の事だってそうだ。

大して好きでもないのに、付き合っていた若い頃。

本当に好きだと感じて、付き合っていたのは彼だけだった。
< 17 / 224 >

この作品をシェア

pagetop