停留所で一休み
「ああ!行ってきま~す!!」

克己は慌てて、家を飛び出して行った。

「克己は行ったか?」

父が居間から顔を出した。

「うん。今、行った。」

「慌てて、事故にでも遭わなきゃいいが。」

「はははっ!」

私は、久しぶりに大きな声で笑った。


「ねえ、お父さん。」

「何だ?」

私は、父に真っ直ぐ前を向いて言った。

「私、もう一度東京で頑張ってみるね…」

一晩中考えて出した答えだ。

「そうか。頑張りなさい。」

「うん…」

父は居間に戻った。

「また何かあったら、いつでも遠慮しないで帰って来なさい。ここはおまえの実家なんだから。」

「はい…」

私は、心の底から素直に返事をした。
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