停留所で一休み
「係長。営業二課の三枝課長と、別れたって本当ですか?」

「……本当だけど、何で知ってるのよ。」

怒らないって言った手前、軽く睨む程度に抑えた。

「か、風の便りで…」

今どきそんな表現するヤツいるか!

どうせ佳樹が、ポロッと言ったのを、周りが広めたんでしょ。


あ~あ。

こういう時、女の子だと話分かるのにな。


「あれ?」

私は周りを見渡して、ある事に気づいた。

「真帆ちゃんは?」

真帆ちゃんというのは、派遣でうちの会社に来てくれている七宮真帆のことだ。

パステルカラーの洋服を着こなし、細い眉に大きな瞳、きれいな茶色に染められた長い髪の彼女。
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