停留所で一休み
その時だった。

私が座っている遥か後ろから、大声が聞こえてきた。


「おめでとう!おまえもついに家庭持ちか!」

誰かが結婚するんだ。

私がこんなに落ち込んでる時に!

私はコンパクトを、勢いよく閉めた。


「相手は企画部の子だって?」

企画部?

うちの部署じゃん。

他人事とは思えない話に、私の耳は更にそっちへ向く。


「8歳も年下なんだろ?いいよな~、羨ましい!!」

羨ましいのはいいけれど、うちの部署にそんな若い子で、結婚するような子いたかな。

「そう言えば、奥さん。名前はなんて言うんですか?」

「やだあ、まだ奥さんじゃないですよ。」

私は、その声に体が固まった。
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