停留所で一休み
佳樹は、首を横に振った。

「出海と別れる前に、1度だけ彼女とそういう事があって……たぶんその時にできたんだと思う。」

佳樹は俯きながら、静かに答えた。

「すまないと思ってる。でも俺達が別れた理由は、彼女と無関係なんだ。信じてくれ。」

「今更言い訳はよしてよ。」

私は立ち上がった。

「出海……」

「真帆ちゃんと結婚するんでしょ?」

佳樹も立ち上がった。

「…ああ。」


1度の過ちだって、何だっていい。

3年付き合った私とは、決められなかった結婚を、佳樹は付き合って1か月の真帆ちゃんと決めたのだ。


「それが全てだよ。」

そう言って私は、ポーチを持って休憩室を出た。
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