停留所で一休み
オフィスを出て、私はしばらく廊下をウロウロしていた。

「部長、本当に分かってくれたのかしら。」

時々曖昧な態度を取る部長。

そんな時は決まって、決断しかねている時。

部長は、私の退職届を受理するかどうか、迷っているって事。


でも、まあいい。

可愛がってくれた部長には悪いけれど、自分の気持ちは決まっている。

私はいつの間にか、休憩室に向かおうとしていた。

その途中にある給湯室から、数人の女の子の声が聞こえてくる。


「そうか、真帆。結婚するんだ。」

「ああ、子供できちゃったから。」

私は足を止めた。

今、一番会いたくない相手だ。
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