停留所で一休み
「小形係長……」

真帆ちゃんと一緒にいた子が、後ろを向いて私に気づいた。

私は、真帆ちゃんを見た。

真帆ちゃんも、私を見つめている。


「あっ、じゃあ私はこれで。」

一緒にいた子は、私に頭を下げると、その場を去ってしまった。

二人きりになるなんて、これじゃあ無視できないじゃん。

「……結婚するんだってね、真帆ちゃん。」

こう言う時は、先に話しかけておく。

「はい。」

「相手は三枝君だって?おめでとう。」

気を使って、佳樹とは言えなかった。

「ありがとうございます。」

お礼を言った真帆ちゃんの表情に、笑みはなかった。

「あっ……じゃあ、私も行くね。」

こういう時は、さっさと離れるのが一番。
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