停留所で一休み
「待って下さい!!」

真帆ちゃんが、私を呼び止める。

「よく平気で”おめでとう”なんて言えますね。」

いつもの明るくて、甲高い声じゃない。


「それぐらい、誰だって言うでしょう。」

「私はあなたから、三枝さんを奪ったんですよ。」

だから彼女には、会いたくなかった。

会えばこういう話になるのを、知っていたから。


「そういうふうに言うのやめようよ、真帆ちゃん。」

「え?」

「どっちみち、私と三枝君はダメになってたんだから、真帆ちゃんのせいじゃないよ。」


私は無意識に、そう自分に言い聞かせていたのかもしれない。

「それに、そんなこと言ったら、三枝君だって可哀想だよ。彼、真帆ちゃんに、随分癒されてるって言ってたよ。」
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