停留所で一休み
「何かあっても、派遣会社は責任取れないから、妊娠したって分かった途端、契約は打ち切られるんです!」

真帆ちゃんの気持ちが、痛いほど伝わってきた。

「係長が言った通り、私ここの仕事好きですよ。」

「真帆ちゃん……」

「でも、派遣辞めてこの会社に就職したら、契約違反になるからできないし、このままでいても派遣のままだし……だったら、さっさと諦めて、結婚するしかないじゃないですか!」


将来が見えない。

だけどそれは、派遣も社員も一緒なわけで。


「真帆ちゃん、私もそうだよ。」

「えっ?」

「私はただ……ずっと同じ会社にいただけ。」

何を言っても今の真帆ちゃんには、ウソにしか聞こえないかもしれない。

だけどそれは、私の本音だった。
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