停留所で一休み
たった二人だけの為に、バスを走らせてくれるなんて、バス会社もご苦労な事だ。


「間もなく、このバスは発車します。」

動きだすバス。

新幹線からの眺めとは、まるで違う。

しばらく走っては、信号で停まる。

当り前の事なのに、イラッとする。

「まっ、いいか。別に急ぐわけじゃないし。」

私はそう自分に言い聞かせて、暇な時間をどうにか潰していた。


ボーっと、高速バスからの景色を眺めていると、ふとこの前の事が頭の中に浮かんできた。

真帆ちゃんと言い合いして、二人で見つめ合っていると、誰かが佳樹に知らせたのか、本人が青い顔をして走ってきた。

「どうしたんだ?」

佳樹が、真っ先に心配そうに話しかけたのは、私ではなく真帆ちゃんの方だった。
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