停留所で一休み
しばらくして、カラカラと玄関が開く。

「ただいま~」

元気な声が、家に響き渡る。

「おっかえり~」

私が陽気に声を掛けると パタパタと廊下を走ってくる音がした。


「姉ちゃん?」

一番下の姉弟、弟の克己(カツミ)が帰ってきたのだ。

「うわ~、姉ちゃんだあ~!!」

満面の笑顔で、自分の帰りを喜ぶ弟は、26歳のいい大人だと分かっていても、可愛いものだ。


「いつ、こっちに着いたの?」

「夕方。」

「じゃあ、着いてまだ2時間くらいしか経ってないじゃん!」

「そうだよ。」

興奮しながら私の隣、父の間向かいの席に、克己は座った。

「克己も一緒に飲む?」

母は気が早く、返事を聞く前に、克己にコップを持ってきた。
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