停留所で一休み
「もう二人とも飲んでるんだ。」

克己は自分でビールを注ぐと、父と私のコップにもビールを注いだ。

「さっき、飲み始めたばかりだよ。」

「さっき?」

私が答えると、克己は既に、空になっている瓶を発見した。


「さすが、酒豪二人だな。」

「何か言った?」

私は克己に顔を近づけた。

「いや、お母さん、ビールまだある?」

自分が飲み始める前に、台所へ新しいビールをもらいに行くところは、姉弟の末っ子に生まれた悲しい性だ。


「そういえばイチ姉は、姉ちゃんが帰ってきた事、知ってるの?」

台所から克己が顔を出す。

一香(イチカ)姉ちゃんだから イチ姉だ。

「さあ?知らないんじゃない?私、話してないし。」
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