停留所で一休み
「出海、一香に何言ったの?」

「別に。」

私はまた、畳の上に寝転んだ。

「またそうやって寝転がる。」

「いいじゃない。他にする事ないんだし。」

「そう言って、この子は。」

母も側にいた一香も、私に呆れている。


ふと玩具で遊んでいる、一弥の姿が見えた。

子供は、嫌いじゃない。

できれば、欲しい。


それに、一度だけできたかもしれないって、佳樹と騒いだことがあった。

だけどそれも、私の勘違い。

ただストレスで、生理が遅れているだけだった。


できてなかったと報告すると佳樹は、「よかった~」と安心していた。

私だって、安心した。

できれば、デキ婚なんてしたくないし。

急に子供ができたって、仕事どうしようって思うし。


でも……でもなんだよね。

そこは、我が侭な女心なのかな。

『そっか……できてなかったんだ……』

そうやって、少しは佳樹に、がっかりして欲しかったな。
< 70 / 224 >

この作品をシェア

pagetop