停留所で一休み
「ああ……お母さんに用があって……」

「でしたら私がお伺いしますが。」

少し強気に出た私。

「すみません、お母さんとお約束していたもので。」

「母は今、おりませんが。」

「そんなはずはないでしょう。」

男は背伸びをすると、家の中を覗いている。

ものすごく怪しい。

「また別な日にして下さい!」

「うわっ!」

私が玄関を閉めようとすると、男は両手でそれを止めた。


「ちょっと、何なんですか!あなた!」

「待て!話を聞け!」

「誰か!誰か!!」

私が大きな声を出すと、男はありったけの力で玄関をこじ開けた。

「キャアアアアア!!」

叫ぶ私の口を、男が押さえてくる。
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