停留所で一休み
「いえ、大丈夫です。さっき誰かさんに、泥棒か何かに見間違われただけなんで。」

母は、真っ先に私を見る。

「泥棒なんて、言ってないわよ。」

私は赤い顔しながら、母の隣に座った。

「ふふふっ!同級生を見間違えるとはね。」

母は思いっきり笑っていた。

「だって本村君の事、よく覚えていなくて……」


本村敬太?

確かそんな人いたような気がする。

でも高校も一緒だったっけ?


「失礼なヤツだな。俺は小形の事、よく覚えているぞ。」

ドキッとした。

「本当に?」

「ああ。小形は飛び抜けて、頭が良かったからな。」

そう言って本村君は、お茶をすすった。

「実力テストじゃ、いつも学年で10番以内に入ってた。小形の名前を知らないヤツなんて、同じ学年ではいないよ。」
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