停留所で一休み
そんな昔のこと言われると、頭の奥がくすぐったくなってくる。

「そんな、大げさな。」

「大げさじゃないって。事実だから。」


変なの。

私は本村君の事を、何一つ覚えていないのに。

この人は、私の事をよく知っている。

それは、不思議な気分だった。


「あっ、そうだ。お母さん、この前欲しいって言ってた、資料持って来ましたよ。」

本村君は、何かを思い出したかのように、持ってきたものを取り出して母に見せた。

「何の資料?」

母よりも私の方が、その資料に釘付けになった。

「ん?インターネット?」

「そうなの。」

母は照れくさそうに答えた。

「えっ…お母さんが?」

「あんまり得意じゃないけどね。」
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