停留所で一休み
「えっ?もう一度言って!」

私が意地悪っぽく言ったのに、本村君は息を吸って大きな声でこう言った。

「満開の花だけが、綺麗かって言ったら、そうじゃないって事!」

その真っすぐな意見に、不覚にも心が震えてしまった。


「今度は聞こえたか?」

本村君は、私の背中を軽く叩く。

「あっ、うん……」

また聞こえないって言ったら、今度は何を言われるか分からない。

って言っても、嫌なくらいに聞こえてきたんだけどね。


その後、しばらく本村君と一緒に、堤防を歩いた。

小さい頃や、学生の時はよくここで、待ち合わせをしたり、話込んだりしたものだ。


「で?何で急に叔母さんの家、飛びだしたりした?」
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